婚活をはじめたばかりの頃、わたしは心のどこかで思っていたんです。

「どうしてこんなに、ピンとくる人がいないんだろう」って。

アプリを開いては閉じて、街コンに行っては「また違った」と帰って、お見合いの席で笑顔を作りながら「この人じゃないな」と感じる。そういう夜が続くと、だんだん婚活そのものが嫌になってくるんですよね。

でも今ふり返ると、あの頃のわたしは完全に「見る側」にいたんだなぁと思います。相手を品定めして、評価して、選ぶ立場で座っていた。

そしてそれが、すれ違いを生んでいた理由だったんじゃないかなって、いまは感じています。

男性が婚活に求めているものと、わたしたちが求めているもの

動いた人だけが、出会いに触れる

婚活の現場で長く相談を受けていると、男性と女性とでは婚活に対するスタンスが根本的に違うことに気づくんです。

植草美幸さんの著書『結婚の技術』でも触れられているのですが、男性は45歳を過ぎてから婚活を始めても、「恋愛がしたい」という気持ちを強く持っている方が多いんですね。スペックや条件よりも先に、「この人と一緒にいたいか」「ときめきがあるか」を大事にされている。

一方で女性はというと、年齢が上がるにつれて条件を軸に婚活を組み立てる傾向が出てくるんですよね。年収、安定性、家事育児への理解、住む場所。もちろんそれは現実的で、まったく間違っていないんです。でも条件チェックを先にしすぎると、相手の「この人に好かれたい、ときめかせたい」という純粋な気持ちとすれ違ってしまうこともあるのかなと。

男性は「恋愛の文脈」で動いていて、女性は「人生設計の文脈」で動いている。同じ婚活の場にいながら、まるで違う言語で話しているような状態になることもあるんですよね。

これはどちらかが悪いとか、どちらかが間違っているという話ではないんです。ただ、この構造を知っておくだけで、見える景色がぐっと変わってくるんじゃないかなと思います。

「帰国ギリギリまで会いたいから」と言った女性の話

以前、わたしのクライアントにとても印象的な方がいらっしゃいました。海外と日本を行き来しながら仕事をしていて、「3ヶ月海外・2ヶ月日本」というスケジュールで生活されていた方です。

婚活を始めたいけれど、日本にいる期間が短くて難しい、とご相談に来てくださったんですね。

正直なところ、条件だけ見れば確かにハードルが高い状況でした。会える時間が限られている、次いつ帰れるかわからない、長期の関係を築きにくい。

でもその方は、その状況を逆手に取ったんです。

帰国のタイミングがはっきりしているから、「この期間に絶対に会いに行く」という覚悟が生まれた。そして実際に出会った男性に対して、自分からこう言われたんだそうです。「帰国ギリギリまで会いたいので、成田空港の近くのお店で予約します」と。

自分でお店を探して、日程を組んで、空港への帰り道まで一緒にいられる設計をされた。

その積極さと誠実さが伝わって、その方はその男性と結婚されたんですよね。

わたしがこの話を聞いたとき、素直にかっこいいなぁと思ったんです。ルールや制約の中でも、「会いたい」という気持ちをちゃんと行動にされた。受け身でいるより、自分が動いた方がずっと早い、ということを体で示してくれた方でした。

「選ばれる」は、待つことではない

選ばれるは、自分を選んだ先にある

婚活をしていると「選ばれたい」という言葉をよく聞きます。いい男性に気に入られたい、好きになってもらいたい。

でも「選ばれる」ということを「待つ」と同義語に使ってしまっていることが多いな、とわたしは感じているんです。

植草美幸さんはこの点について、とても核心をついた言葉を残されています。「『幸せにしてもらう』思考から、『幸せにしてあげる』思考への転換が必要です」と。

選ばれる立場に回ろうとするのではなく、自分が相手を選んで、相手の幸せを考えて動く側になる。その姿勢こそが、結果として「選ばれる女性」をつくっていく、ということなんですよね。

たとえばデートのプランについて。「どこでもいいですよ」「おまかせします」と言い続けながら、実は心の中で「もっといいところに連れて行ってほしい」と思っていたりしませんか。

プランに不満があるなら、自分でリードしてみる。行きたいお店があるなら提案してみる。相手に何かをしてもらうことを待つのではなく、自分が動く側に回ったとき、関係の雰囲気はがらりと変わっていくんです。

これは積極的すぎてはいけないとか、女性らしくないとか、そういう話では全然ないんですよね。自分の気持ちに正直に動いている女性のことを、うっとうしいと感じる男性はほぼいらっしゃいません。むしろ「この人といると楽しい」「また会いたい」と感じてもらえることの方が圧倒的に多いんじゃないかなと思います。

今のあなたは、何も間違っていない

婚活に疲れると、自分のどこかがダメなんじゃないかと思い始めることがあるんですよね。

スペックが足りないのかな、見た目に問題があるのかな、性格が合わないのかな。そうやって自分を減点し始めると、どんどん暗くなっていく。

でも、それは違うんです。

あなたは今のままで、十分に魅力的な方です。ただ、少しだけ視点を変えてみてほしいんですよね。「いい人がいるかな」と探す目線から、「どうしたら相手が喜ぶかな」という目線に。

選ぶ側から、贈る側へ。

その小さな転換が、婚活の体験をまるごと変えてくれるんじゃないかと思っています。受け身で座っているだけだったのが、自分で物語を動かしている感覚に変わっていく。そしてそういう女性のそばに、同じように前向きに生きている男性が集まってくるんです。

海外在住だった彼女が、制約の中で自分の気持ちを行動に変えたように。

あなたにもそれが、できます。

最後に、ひとつだけ

婚活は修行ではないんですよね。苦しいことに耐えて、ストイックに続けた人が報われる世界でもないんです。

自分の気持ちに正直で、相手を思いやって動ける人が、自然と幸せな出会いに近づいていく場所なんだと思います。

今日から少しだけ、「してもらう」より「してあげる」を意識してみてくださいね。その意識のシフトが、あなたの婚活をやさしく、そして確かに前に進めていってくれると思っています。

わたしはそう信じているんです。

佐々木志穂(ささきしほ) 婚活コーチ。30代・40代の女性を中心に、恋愛・結婚に関する個別コンサルティングを行っています。「自分を変えるより、視点を変える」アプローチで、無理なく自分らしい出会いを手に入れるための伴走をしています。